DED方式を用いた金属3Dプリンタで実現する傾斜機能材料の革新

近年、3Dプリンタ技術は急速に進化し、産業界に多くの変革をもたらしています。その中で特に注目されるのが、金属3DプリンタのDED方式を用いた傾斜機能材料です。この記事では、DED方式がいかにして傾斜機能材料を実現するのか、そしてその特徴とメリットについて詳しく解説していきます。

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1.金属3DプリンタのDED方式とは?
DED(Directed Energy Deposition)方式は、金属3Dプリンタにおいて一般的に使用されるパウダーベッド融解(PBF)方式とは異なる造形方法です。DED方式では、粉末金属材料を高エネルギーの熱源によって溶融させ、層状に積み重ねて製品を作り上げます。この方式は、高速での金属デポジットが可能であり、大型部品や複雑な形状の製造に適しています。
2.DED方式の特徴:2種類の材料を同時供給

株式会社フジが所有しているDED方式の装置(DMG森精機株式会社製 LASERTEC 65 DED hybrid)は、2つの粉末供給タンクを持っており、2種類の材料を同時に供給することが可能です。これにより、造形中に材料の比率を連続的に変化させることができます。この特徴により、一つの部品の中で異なる材料を組み合わせることが可能となり、傾斜機能材料の実現が可能となります。
3.傾斜機能材料とは?

傾斜機能材料(FGM: Functionally Graded Materials)とは、材料の構成や性質が徐々に変化することで、製品の特定の部分に特化した機能を持たせることができる新しいタイプの材料です。従来の均一な材料と比較して、FGMは耐久性や耐熱性、軽量化などの特性を向上させることが可能です。
4.DED方式による傾斜機能材料のメリット
DED方式を用いた傾斜機能材料の最大のメリットは、一つの部品内で異なる材料の特性を組み合わせることができる点です。これにより、部品の特定の部分に耐久性や耐熱性などの特性を強化し、他の部分では軽量化や強度向上を実現することができます。また、部品全体の性能を向上させるだけでなく、寿命の延長や製造コストの削減にも寄与します。
5.産業への応用
DED方式を用いた傾斜機能材料は、様々な産業でその価値が認識されています。金型業界では、金型の表面に耐摩耗性や耐熱性の高い材料を、内部には熱伝導性が高い銅合金を配置することができ、金型の寿命を延ばし、製造コストを削減する効果に期待されています。
航空宇宙産業では、部品の高い強度と軽量性が求められるため、FGMはそのニーズに適した材料として注目されています。タービンブレードやロケットエンジンのノズルなどの部品に、耐熱性と耐摩耗性を兼ね備えた傾斜機能材料を適用することで、性能向上や寿命の延長が期待できます。また、DED方式は大型部品や複雑な形状の製造に適しているため、航空宇宙部品の開発期間の短縮やコスト削減が実現可能になります。
※株式会社フジでは傾斜機能材料の造形条件を開発しております。産業への応用は開発が済み次第、順次行って行きます。2023/5現在
6.まとめ
金属3DプリンタのDED方式は、2種類の材料を同時に供給することが可能であり、これにより傾斜機能材料の実現が可能となります。この技術は、金型業界や航空宇宙産業など様々な産業において、高い付加価値をもたらし、新たな技術革新の一翼を担っています。今後もこの技術の進化とともに、さらなる産業界への応用が期待されることでしょう。DED方式を用いた傾斜機能材料は、現代の製造業において、革新的な技術としてその地位を確立しています。
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