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金型メーカーが伝えたい金属3Dプリンタの選び方|鋳造用金型、各種治具の設計・製作の株式会社フジ

金型メーカーが伝えたい金属3Dプリンタの選び方

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(1)はじめに

(※このページは2022年5月25日に更新されました)

「 金型と相性の良い金属3Dプリンタを知りたい 」

「 いま、最も注目を集めている金属3Dプリンタの情報を知りたい 」

この記事は、創業50年の金型メーカーが " いま、伝えたい "
最も金型と相性の良い金属3Dプリンタを " 金型メーカーの目線 " で書いています。

今回は、金型と関係性の高い " DED方式 " と " PBF方式 " に絞ってご説明します。
積層方式の仕組みや原理のコンテンツは、ネットワーク上にたくさんありますので、この場では割愛します。

 



kao.png
 
はじめまして。AM技術部の吉田と申します。
私は埼玉県川口市に本社がある " 株式会社フジ " という金型メーカーに勤めています。
プログラム部に18年間所属したのち、今年の4月からAM技術部に異動になりました。

株式会社フジは、創業50年の金型メーカーです。

各社大手自動車メーカー様のティア1として、
幅広くお手伝いさせて頂いている、 " 金型のフロントランナー企業 " です。

目指すは " 業界No1の便利屋 "!が私たちのテーマです。


さて、突然ですが、
皆さんは " 金属3Dプリンタの方式 " をどのような基準で選んでいますか?

シェア? 装置メーカー? 価格? 造形可能サイズ? インスピレーション?

あなたが、金型メーカーの立場として検討している場合、
" 金型に付加価値を持たせたい "  " 製造コストを下げたい " など
様々なもくろみがあると思いますが、
金属3Dプリンタは
数千万~数億円など、とても高額な投資になります。


そのため、自社に合った " 本当に使える方式 " を選ぶ必要があります。
" 使える " とは、お客様のニーズがしっかりと見込めるか、どうかです。



結論から申し上げると、
金型と最も相性が良い方式は " DED方式×5軸 だと考えています。
多少、偏った考えもあると思いますが、ご了承ください。

理由は後ほどご説明しますが、
私たちはDED方式×5軸の魅力を伝えるべく、
大手自動車メーカー様、鋳造メーカー様の生産技術部に訪問させていただき、プレゼンをしました。

更にお客様のニーズを確かめる為に、多くのお客様と意見交換を致しました。
その数は10社を超え、ヒアリングさせて頂いた担当者様は30名以上です。


この記事では、金型を実際にお使いになる、お客様に近い立場である、
金型メーカーならではの視点で、" 金属3Dプリンタの選び方 " をご紹介させていただきます。


最後までお付き合い頂けると幸いです。それでは行ってみましょう。




(2)DEDとPBFの成長率

現在(※2022年)の金属3Dプリンタのシェアは、" PBF " の独走状態が続いています。
しばらくはPBF一強と予想されていますが、成長率を見ると、" DED " の方が高い事をご存知でしょうか?


" AMPOWER GmbH & Co. KG. " から発行されているレポートによると、
2025年までの金属3Dプリンター市場の成長率は、" 3倍 " になると報告されています。

内訳は、PBFが2.7倍、DEDが4.2倍の成長率ですので、その差は" 1.5倍以上 " です。
平均成長率が3倍に対して4.2倍ですから、" DEDは注目されている方式 " と言えます。


【参考】AM POWER Reportによる「金属3Dプリンタ市場の規模調査2020年~2025年」

(3)DEDとPBFの成熟度

金属3Dプリンタの成熟度を示した指標では、最も成熟している方式は" PBF(LB)"です。

工業的な利用が可能かどうか、" 工業化指数 " と " 技術成熟度指数 " でマトリクスで示した表がこちら。

DED_matrix.jpg
【参考】AM POWER Reportによる「金属3Dプリンタ市場の成熟度調査2020年~2025年」

LB-PBF方式に続くのが、赤色で示した " DED方式 " です。

まずは、成熟していない理由をご説明したいと思います。

DEDの代表的な活用方法として、" 異種金属結合 " があります。
画期的な技術ですが、界面部の接合強度が不安定な点が懸念されています。

異種の結合は " 材料毎の積層造形プロセスパラメーターの最適化 " が不可欠であり、
プロセスパラメーター数が多い事が、
成熟していない理由の一つとして考えられます。


安定した造形プロセスを確立させるためには、冶金知識が必要不可欠です。
更には粉末供給量、不活性ガス量、不活性ガスの種類はアルゴンガスか窒素か、
エネルギー密度、入熱量など、幅広い知見と経験が必要になります。

成熟度がPBFに並ぶには、まだ時間がかかりそうです。

株式会社フジでは、" 異種金属結合の欠陥ゼロ " の造形条件を開発するために、
" 5つのプロセスモニタリング " を活用する事で、造形プロセスを徹底的に管理して、
品質を向上させて、欠陥ゼロを目指します。


なお、DED方式の成熟度はPBFよりも低いですが、別の視点でいえば " 出来る事が多い " が故に、
成熟していない所が目立ち、下げていると、捉える事ができます。

たとえば、鋳造用金型のメンテナンスなど、スポット的な適用であれば、
母材と親和性の高い積層粉末を使用するのが一般的なので、界面部の造形条件は、異種金属と比べて遥かに安定します。
(母材:SKD61 / 積層材:HTC(SKD61改良))


親和性が高ければ、界面部の状態を安定させる事は比較的容易に出来ますので、
用途によっては成熟が高い方式とも言えます。

(4)DEDの同義語一覧

Directed Energy Deposition(ダイレクト・エネルギー・デポシジョン)の頭文字を取って、
DEDと呼ばれていますが、その他の類義語をご紹介します。

・LMD:Laser Metal Deposition(レーザー・メタル・デポジション)

・指向性エネルギー堆積法

・パウダーデポシジョン

・パウダーノズル方式

・レーザークラディング

(5)金型と相性が良い理由とは

さて、本題になります。
" 成熟度 " ではDEDの課題をあげさせて頂きました。

それでも金型と相性が良いと伝えたい所とは、

結論から申し上げると、" 金型のメンテナンスが出来る事 が大きな理由です。

株式会社フジのDEDは5軸加工機と融合した、ハイブリットタイプです。
DMG森精機製「LASERTEC 65 DED hybrid "
LASERTEC_65_3D_hybrid.jpg


積層と切削を組み合わせる事で、金型の摩耗修正や破損修理が容易に行う事が出来て、
更にコーティングにより、金型表面を強化する事もできます。
また、" 5軸マシニングセンタ " として、単独で使えるのも金型メーカーには相性の良い装置と言えます。


DED方式×5軸の " 何かに付け加える " という特性が、
金型への適用範囲が一気に広がり、お客様に提案出来る事が増えて行く点が、大きな利点です。

せっかく、高額な装置を導入しても、お客様に使って頂けないと宝の持ち腐れです。
まずは、お客様に試しに使って頂く事が重要です。


さらに、金型のメンテナンスは、" 常にニーズ " があります。

株式会社フジでは、年間100型以上の金型メンテナンスを行っています。
金型メーカーにとって「 金型メンテナンス 」は必ずと言って良いほど、請け負う仕事です。

従来のノウハウを活かす事が出来て、溶接から切削仕上まで、
1回段取りで、全自動で行う事が出来るため、すぐに実戦投入できる点がおススメしたい点です。


" コスト "と " 品質 " について、少し掘り下げてみましょう。

・コスト

金属3Dプリンタ用の粉末は高額と言われていますが、利用目的が金型メンテナンスであれば、
使用量は多くありませんので、そこまでコストアップには繋がらないです。

更に溶接時間は、手作業に比べて " 10倍近く " 速いため、コストとリードタイムを抑える事ができますので、
その当たりを踏まえての価格設定が可能かと思います。


・品質
海外のとある研究によると、" DEDで修復した金型は、従来よりも寿命が3~8倍に向上 " したという論文があります。
お客様の使用環境によっては寿命が変わってくると思いますが、プレゼンで紹介したお客様には、とても興味を持って頂けました。

(6)フジの取組みについて

株式会社フジでは、DED方式の3Dプリンターに5軸加工機を融合させた、 
DMG森精機製「LASERTEC 65 DED hybrid 」を用いた、高寿命な金型メンテナンスをご提案しています。

その他、お客様のニーズに合わせた"粉末の条件開発"を大手材料メーカー様と共同で行うなど、
中小企業ならではの、フットワークの軽さを活かして、お客様のニーズを満たすため、日々チャレンジしていきます。


また、こちらの記事では「金型製作における「DED方式×5軸加工機」の可能性を紹介しております。

ご興味がございましたら、ご覧ください。


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