1. TOP
  2. 豆知識
  3. 豆知識 加工技術 金型全般 AM事業
  4. 金型の刃先のみをDED造形する技術|リードタイム短縮・コスト削減を実現

金型の刃先のみをDED造形する技術|リードタイム短縮・コスト削減を実現|鋳造用金型、各種治具の設計・製作の株式会社フジ

金型の刃先のみをDED造形する技術|リードタイム短縮・コスト削減を実現

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
プレス型やダイカットロールなど、刃先に高い硬度が求められる金型においては、従来から加工コストやリードタイムが課題となってきました。
本記事では、刃先のみをDEDで造形することで実現できる新たな金型製造手法と、その開発状況についてご紹介します。


die cutting roll1.jpg

目次

刃先金型における従来の課題

自動車プレス産業におけるトリミング金型や、不織布の打ち抜きに使用されるダイカットロールなど、これらの金型は刃先部分に高い強度と耐摩耗性が求められます。

そのため、ハイス材(SKH系)やSKD11などの高硬度材(HRC60以上)が使用されるケースが多くあります。

しかし、これらの材料は非常に硬いため、切削加工に時間がかかる、加工コストが高い、リードタイムが長くなる
といった課題があります。

さらに、金型(刃先部)の補修においても、高硬度材は溶接時の割れ感受性が高いものが多く、熟練した溶接技術が必要となるなど、メンテナンス性にも課題を抱えていました。

DEDとの相性と適用メリット

こうした刃先に高い性能が求められる金型は、DEDとの相性が非常に良い分野の一つです。

DED方式を用いることで、
刃先部分のみに高硬度材を造形し、母材には加工性の良く、さらに安価な材料を使用することが可能となります。

これにより、加工時間の大幅な短縮が可能となり、リードタイム短縮およびコスト削減の効果が期待されます。

また、使用中に刃先が摩耗・欠損した場合でも、該当部分のみを除去し再度DEDで積層することで、高いリサイクル性を実現することができます。

さらに、造形は装置とプログラムを使用する事で数値制御によって行われるため、従来の溶接補修のように熟練技能に依存する必要がなく、品質の安定化にもつながる技術として注目されています。

このように、刃先造形用途においてDEDは非常に有効であり、今後は「キラーアプリケーション」となり得る可能性があります。

フジの開発状況

当社ではこれまで、SUS系やNi系、SKD61系などの粉末について造形条件の開発を進めてきました。

ただし、これらの材料は硬度がHRC50前後であり、刃先用途に求められるHRC60以上の硬度には達しないケースが多くありました。

そのため、より高硬度な材料としてM2ハイス材(SKH51系)のDED造形に着目し、造形条件の開発をスタートしました。
造形当初は、SUS系やNi系材料と比較して凝固時の応力が非常に大きく、1~2層程度の薄い造形では問題ないものの、厚みを持たせた場合には母材との界面や造形部内部に割れが発生する課題が確認されました。

これに対して、造形方法やパラメータの見直しを行い、現在では5mm以上の厚みを安定して造形できる段階に至っており、巣の抑制にも成功しています。

技術的課題

ハイス材をDEDで造形した場合、粒界炭化物の生成により靱性が低下し、脆くなる傾向があることが分かっています。

この影響により、実際の使用環境では刃先の欠けや摩耗が想定よりも早く進行するケースも確認されています。

そのため、粒界炭化物の生成をいかに抑制するかが重要な技術課題となっています。

近年では、材料メーカー各社において、従来のハイス材の組成を見直し、靱性を向上させた粉末材料の開発や粒界炭化物が生成されない組成の研究が進められています。

それらの専用設計された粉末では、造形ままでもHRC63前後の高硬度を確保しつつ、靱性の改善が図られている材料も登場しています。

今後の展望

現時点では、量産金型への適用事例はまだ限定的であり、実用化に向けてはさらなる検証が必要な段階です。

特に、刃先の耐久性については、材料特性と造形条件の両面から最適化を進める必要があり、前述で述べた通り粒界炭化物の生成を抑制する必要があります。

現在は材料メーカーと連携し、高硬度の維持した状態での靱性の向上、粒界炭化物の抑制を両立する材料設計と造形条件の確立に取り組んでいます。

今後はこれらの課題を解決し、刃先造形技術の実用化および適用範囲の拡大を目指していきます。



■ まとめ

刃先のみをDEDで造形する技術は、従来の加工方法における課題であったコストやリードタイムを大きく改善できる可能性を持っています。

一方で、材料特性に起因する課題も存在しており、現在は実用化に向けた検証段階にあります。

当社では今後も、金型メーカーとしての知見を活かしながら、実用性の高い刃先造形技術の確立を進めてまいります。

banner2.png

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

製品・サービスについてのお問い合わせは
メールフォームからお寄せください。

お電話でのお問い合わせはこちら

048-224-7161

受付 / 平日9:00 ~ 17:00

メールでのお問い合わせはこちら