PVD(CVD)コーティングとは?
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1.PVDコーティングとは
PVDコーティングとは、「physical vapor deposition」の略称で、各社、独自に開発した硬い合金を物理(physical)蒸着(vapor deposition)させる技術となります。金型の表面を圧倒的に硬くして、ツルツルさせ、摩耗を劇的に少なくするというもので、電気的(物理的)に硬質皮膜を処理物表面に蒸着させる処理です。
2.CVDコーティングとは
CVDコーティングとは、「Chemical Vapor Deposition」の略称で、熱的(科学的)に硬質皮膜を処理物表面に蒸着させる処理となっています。
3.PVD(CVD)コーティングの特徴
・PVDコーティングの処理方法
PVDコーティングの処理は、不活性ガス(窒素など)雰囲気中で、チタン(Ti)、クローム(Cr)、アルミ(Al)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)等の金属を単層、もしくは複層で 成膜(蒸着)させます。
・PVDコーティングの処理工程
洗浄 → 窒化 → PVD炉に投入
となります。
PVD処理を行う前に窒化処理を行います。目的は、母材が350HV程度のものに対して、表面コーティングが3000HVになるため母材と硬質皮膜の硬さの差が大きく、密着力に影響を及ぼします。そこで、母材の下地として窒化処理を行い硬度を高め、密着性をよくします。また、このとき注意が必要なのが、窒化の白層(化合物層)と言われる、硬く脆い層が0.01mm程度できますがこれが密着性に悪影響を与える恐れがあるので、白層のない窒化をすることが、より望ましい状態となります。
・PVDコーティングの膜厚
PVDコーティングの膜厚は、2~4(μm)=0.002~0.004(mm)、3000HV前後の硬さがあり、切削工具の表面と同等の硬さになります。硬度の参考値ですが、金型内部は350HV程度で、表面処理のガス軟窒化で1300HV程度です。
・PVDコーティングの色
PVDコーティングの色は、蒸着させる物質により異なり、膜色は工具でよくある金色(TiN)、その他オレンジ、グレー、紫など様々あります。
写真のものは紫色で「AlTiN」のものとなります。
・PVDコーティングの温度
PVDコーティングの温度は、低温処理(450℃前後)である為、処理中における素材自体の寸法変化、歪がありません(弊社金型材料の再結晶温度は560℃前後なので、それより高い温度にすると、硬度が落ちて、変形を起こす。)
・CVDコーティングの温度
CVDコーティングの温度は、処理温度が非常に高く1000℃以上である為、変形、硬度の変化がある為、一般的な鋳造用金型には適用できません。
PVDコーティングは金属表面に硬質コーティングが載っている状態になりますが、CVDコーティングは化学変化によって、表面と一体化したコーティングになります。
PVDとCVDで処理方向が異なります。膜の密着性はCVDが格上になりますが弊社金型ではPVDを適用しています。
・PVDコーティングの注意点
・コーティングには耐酸化温度というものがあり、鋳造時の熱により、酸化、劣化しボロボロになるので、鋳造温度はもちろんのこと、余熱時の急激な加熱も考慮する必要があります。
・PVDコーティング装置に依っては、ドロップレットと言って、表面にゴミの様な凸が出来てしまうことがあり、表面状態が悪くなることがありますがこれは装置の電源性能によるものとなっております。
4.PVDコーティングのメリット
DC型では、ピン類などの小さい部品でPVDを適用し、耐クラック、耐摩耗性を上げることがポピュラーな適用事例です。弊社では主要製品である「低圧鋳造型」に適用しております。理由は以下の通りです。
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・寸法管理が重要な製品形状の保護
鋳造型は過酷な状況下で使用されることから金型のメンテナンスを繰り返し行います。その際、塗型(離型剤)をショットブラストを用いて剥がしますが、一緒に金型表面も削ってしまい摩耗させてしまうためPVDコーティングを行っています。弊社の主要製品である「シリンダーヘッド鋳造用金型」においては燃費に大きく影響を与える燃焼室形状や、粗材の加工で使用される基準面など、寸法管理が重要な場所が多々あるため適用事例が多いです。お客様によってはすべてのキャビ(コア)にコーティングを行う場合もります。
・キャビ同士のカジリ防止
・中子砂と金型の擦れによる摩耗防止
5.PVDコーティングのデメリット
メリットがあればデメリットもあります。
・硬度が非常に高いため(一般的な切削工具と同様)、形状変更や金型修正することが容易でない。
・金額は言えませんが、、、とっても高価です。
6.フジで協力できること
PVDコーティングは弊社の「鋳造用金型」で多く適用実績があります。
寸法管理がシビアな形状保護、金型のカジリ、クラック防止、高寿命化など幅広くご要望にお応えする事ができます。
多くの実績をもとに、ご相談、ご提案をさせていただきたいと思います。
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